第215回–2026年2月
日本テレビ『月曜から夜ふかし』への意見 対応報告を了承
第215回放送倫理検証委員会は、2月13日に千代田放送会館で開催された。
日本テレビ『月曜から夜ふかし』への意見について、当該放送局から再発防止に関する取り組み状況などの対応報告が書面で提出され、その内容を検討した結果、報告を了承して公表することにした。
1月にBPOに寄せられた視聴者・聴取者意見などが報告された。
2026年度の放送倫理検証委員会の開催日程が確定した。
議事の詳細
- 日時
- 2026年2月13日(金)午後4時~午後5時40分
- 場所
- 千代田放送会館BPO会議室
- 議題
- 1. 日本テレビ『月曜から夜ふかし』街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見への対応報告を了承
2. 1月に寄せられた視聴者・聴取者意見を報告
3. その他
- 出席者
-
小町谷委員長、岸本委員長代行、高田委員長代行、井桁委員、
大石委員、大村委員、小柳委員、水谷委員、毛利委員、米倉委員
1. 日本テレビ『月曜から夜ふかし』街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見への対応報告を了承
2025年10月21日に通知・公表した日本テレビ『月曜から夜ふかし』街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見(委員会決定第49号)への対応報告が、当該放送局から委員会に書面で提出された。
報告書には、委員会決定の公表後、日本テレビコンテンツ制作局の全社員にBPO意見の全文を周知し、取材対象者の意に沿わない恣意的な編集や、ロケ現場での不適切な演出などを防ぐ方策などについてアンケートを実施したこと、それを基にディスカッションを行ったことが記されている。
そして再発防止策として、▼インタビュー素材の全文文字起こしを制作会社と日本テレビのプロデューサー陣がチェックし、恣意的な編集が行われていないかどうかを確認していることや、▼従来アシスタントディレクターが行ってきた取材対象者への最終確認を、今後はプロデューサーが行うことを義務化したこと、▼プロデューサーがディレクターから取材や編集過程で気になったことを聞き取り、ケアすべき点を洗い出して制作陣に共有する仕組みを構築中であることなどが述べられている。
また、過去に日本テレビが放送倫理違反に問われたすべての事案を研修用VTRにまとめる作業をしており、制作スタッフが入れ替わる機会などにこれを視聴することで、同じことを繰り返さないよう全社的に取り組む旨が報告されている。
そのうえで、信頼を取り戻すために今後は品質という考え方を意識し、番組制作者同士の信頼感を大切にすることを前提に、制作者の熱意の隣には不正の動機があるという現実を直視して、喉元過ぎれば熱さを忘れるといったことにならないように脇を締めて番組作りに取り組んでいくと総括がなされた。
これを受けて委員からは、当該局研修の様子や質疑の内容の共有に加え、「現場で声をあげやすい仕組みをスタッフと協議しながら作っていくというのは非常に良い再発防止策だ。現場の声をちゃんと聞いて番組制作を進めていってほしいというメッセージが伝わったと感じた」といった意見、「社内で行われたミーティングの総括に『垣根を越えて一緒に悩み一緒に作っていく組織でありたい』とあり、チームで制作しているのだから問題点を言いやすい関係性を作るのが大事だというこちらの思いが届いたと思う」といった意見、「再発防止策に、番組全体会議で毎回人権について考えさせる問いかけをしていくとあり、かなり注意して対処がなされているという印象を持った」といった意見が出され、報告を了承して公表することにした。
日本テレビの対応報告は、こちら(PDFファイル)。
2. 1月の視聴者・聴取者意見を報告
1月に視聴者・聴取者から寄せられた意見には、1月22日放送の毎日放送『よんチャンTV』と、1月23日放送の朝日放送テレビ『探偵!ナイトスクープ』の2番組に対する批判が多かった。
毎日放送『よんチャンTV』は、進行役のアナウンサーが「きょうの現場」のコーナーで各党の立ち位置の図式を紹介する際、中道改革連合・国民民主・共産・れいわ新選組を「優しくて穏やかな日本」、自民・維新・参政を「強くてこわい日本」と紹介し、視聴者から「政党に特定の印象を与える意図的な誘導だ」といった意見や、当該番組で行われた謝罪や経緯の説明に対しても「単なる言い換えに終始し、視聴者の判断に影響を与える危険性に向き合った対応とは言えない」という意見が寄せられた。
これについて委員からは、「『有権者の判断軸は?』と銘打って『優しくて穏やか』『強くてこわい』というイメージだけを放送しており、ソーシャルメディア上のイメージの伝達と一体どこが違うのだろうかという疑問を抱いた。放送がイメージだけを語っていいのか、非常に違和感がある。そのイメージが事実に基づいて論評されているならば問題ないが、この番組にはその形跡が見えない」、「放送倫理の問題というより、コメンテーターのコメントをフリップに落とし込む際のセンスの問題ではないか」、「本来コメンテーターは、番組の伝えようとすることに対して意見を述べるのが役割だが、この番組は、コメンテーターの言っていることがそのまま番組で伝えようとしていることになっており、違和感を覚えた」、「異なる政策を持つ政党を単純に2つに区分けして報じているが、事実として果たして政策をそのように分類できるのか」といった意見が出た。一方で、「『こわい』を『手ごわい』と受け取れなくもない内容だった」、「『強くてこわい』という表イメージは、現代の世界・社会情勢においては、必ずしもネガティブなイメージ一色だとは言えないのではないか。日本は強くあってほしいという考え方を持つ人もいる。イメージについて明確な基準を持って判断することは難しいと思う」、「コメンテーターが、自身の本意と異なる形で編集され、誤解を招いたということを訴えているのであれば、その点を取り上げることはあり得るが、コメンテーターも謝罪しており、この点は放送倫理上問題になりそうにない」、「昨年の参院選以降、各局が選挙報道について試行錯誤を続ける中での失敗だと思う」、「他のコメンテーターがこういう図式はおかしいと発言する場面があるなど番組全体としてはバランスをとろうとしていた。また、番組で表現の稚拙さを謝罪したという対応もあり、速やかな修正がなされており、放送倫理違反とまでは言えないのではないか」という意見が出た。委員会は、事実に基づく報道の徹底やより慎重な表現を使用することが適切であると考えるが、放送倫理違反の疑いがあるとして検証をするまでの事案とは認められないと判断し、討議・審議入りはせず当該番組についての議論を終了した。
朝日放送テレビ『探偵!ナイトスクープ』は、6人兄妹の世話をしている小学6年生の長男の「長男を代わってほしい」という依頼をうけて、探偵に扮したタレントが代わりに家事を引き受けるという内容の放送をしたが、これについて「子どもの年齢に見合わない過度な責任を負わせるヤングケアラーを想起させ強い違和感を抱いた」といった声や、「放送を見た人たちが出演者に対する誹謗中傷や個人情報の拡散を行っており心配だ」といった声が寄せられた。SNS等で強い批判や誹謗中傷が広がっている事態を受けて、朝日放送テレビが番組ウェブサイトで、当該番組には編集・構成上の演出があること、長男から寄せられたとしていた依頼文は、長男の家族と相談の上で放送用に改稿したものだったと説明したが、これについても「編集の範囲を超えた事実関係の改変にあたらないのか」といった意見が寄せられた。
委員からは、「取材を受けた長男が、放送内容よりずっと少ないお手伝いしかしていなかった場合、あの放送は演出を超えた事実の改変に近いことを行っており、その結果ソーシャルメディア上で取材対象者に被害を生じさせてしまったとして問題を問える可能性はあるのではないか」といった意見が出た。一方で、「この番組は、手紙を送った取材対象者とある種の共同作業で番組作りをしており、取材された側も納得して応じているなら、勇み足だった部分はあるとしても放送倫理違反とまでは言えない」、「ヤングケアラーで一番問題なのは学校に行けなくなるような状況だ。日曜日に遊ぼうと思っても遊べないぐらいお手伝いをしていますという話を、ヤングケアラーとして捉えることは困難であり、想定外の誹謗中傷を誘引した責任が番組にあるとまでは言えないのではないか」、「番組で子どもを取り上げる際は注意が必要だが、この番組は長男を助けてあげる、子どもの為にやってあげたと考えて番組を制作した。ところが、子どもをほったらかしにしている母親を演出した結果、誹謗中傷の矛先が母親に向かった。子どもにとって親が批判されるのは辛いことだと察せられ配慮する必要はあったが、その点を怠ったということで直ちに放送倫理違反を問うとまでは言えない」という意見が出た。委員会は、朝日放送テレビが速やかにソーシャルメディア上の誹謗中傷について注意喚起し被害の拡大を防ごうとしていた点も考慮して、放送倫理違反の疑いがあるとまでは言えないと判断し、討議・審議入りはせず当該番組についての議論を終了した。
3. その他
2026年度の放送倫理検証委員会の開催日程が確定した。原則毎月第2金曜日とするが、5月度に関しては大型連休明けとなるため第3金曜日に開催することにした。
以上


