日本テレビ『月曜から夜ふかし』街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見の通知・公表
上記委員会決定の通知は10月21日午後1時からBPOで行われた。委員会からは小町谷委員長、大村委員、水谷委員、毛利委員の4人が、日本テレビからは取締役常務執行役員ら3人が出席した。BPO側から放送倫理違反があったと判断するに至った経緯を説明したあと、日本テレビ側が「長く番組が続く中で、この番組はこういうものなんだという決めつけが制作現場に生じたのではないか。既に再発防止策は取っているが、足りない部分があると思うので、初心に戻りしっかりとご意見を受け止めて放送にあたりたい」などと述べた。
続いて午後2時から都市センターホテル701会議室で記者会見を開き、委員会決定を公表した。会見には新聞・テレビなど26社47人が出席した。
はじめに小町谷委員長が、委員会の決定の内容を説明した。調査・検証の結果、委員会は、本件放送では街頭インタビューを担当したディレクターがオチが付き面白い内容になると考えて、中国出身の人が別の文脈で発言した言葉を恣意的につぎはぎする音声の編集を単独で行い、発言していない内容を発言したかのように放送した結果、取材対象者がソーシャルメディア上で誹謗中傷にさらされる事態に至ったことを認めた。また、番組の制作過程に不正がないかどうか疑念を持つ意識が制作幹部に希薄だったことや、不正抑止のための仕組みが機能不全を起こしていたこと、笑いやオチを優先させるなかで不正リスクの軽視につながった組織風土が醸成されたことに問題があったと認め、他国の人々の感情を尊重する姿勢が不十分であったと付言した。以上のことから、委員会は、日本民間放送連盟放送基準「(31)報道活動 は市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づき、公正でなければならない」、日本テレビの取材・放送規範「事実を歪曲してはならず、また、誤解を招く過剰表現や断定的な表現をしてはならない」、日本民間放送連盟放送基準「(56)放送内容によっては、SNS等において出演者に対する想定外の誹謗中傷等を誘引することがあり得ることに留意する」の各項目に反するものであり、放送倫理違反があったと判断した。
続いて大村委員は、不正のリスクがあり得る以上、番組の品質管理は、番組のコンセプトがきちんと反映されているかという観点からだけではなく、番組内容に放送倫理上の問題がないかや、制作プロセスに不正がないかといった観点からも行う必要があり、制作幹部はプロフェッショナルな視点から疑念を持つことが求められているが、本件放送はそのような制作幹部の責任体制が不明確であったと述べた。
水谷委員は、テレビ番組は視聴者の注目を獲得する為にネット上のコンテンツと競争せざるを得ない状況にあるが、だからといって何でもありということではなく、放送局は、放送倫理に基づいた自律性の下にアテンションエコノミーとは距離を取るという矜持をしっかり示して、番組制作に取り組んでほしいと述べた。
毛利委員は、今回問題となった箇所が恣意的な編集だということは元の素材を見れば一目瞭然で、本件放送は惜しい事故のように一見思えるが、それが放送にまで至ってしまったというところに、不正リスクの軽視につながった組織風土の問題があったと言わざるを得ず、今後、組織としてコンプライアンスを考え直す契機にしてほしいと述べた。
このあと、以下のような質疑応答があった。
| 〇質問 | ・ | 本件放送の恣意的な編集が中国への偏見ゆえに行われたとまでは言えないと意見書にあるが、なぜこういう書き方をしたのか。 |
| 回答 | ・ | ヒアリングで、中国に対する偏見、あるいは文化を貶めようとする意図は確認できず、委員会として偏見ゆえに番組制作が行われたとは認定しなかった。 |
| 〇質問 | ・ | 善意で街頭インタビューを受けた人が放送によって誹謗中傷にあったことについて委員会としての所見を伺いたい。 |
| 回答 | ・ | 日本民間放送連盟放送基準「(56)放送内容によっては、SNS等において出演者に対する想定外の誹謗中傷等を誘引することがあり得ることに留意する」を根拠に放送倫理違反を問うのは今回が初めてのケースであり、放送によって取材対象者に被害が及んだということを委員会としては重く受け止めている。 |
記者会見は約50分で終了した。
以上


